
決まり字紹介シリーズのpart4! 今回は七枚札と八枚札の紹介になります。
今回は三字決まりの札が多めになってます(二字決まり6枚に対して、三字決まり12枚)。共札などに注意して決まり字を覚えていくようにしましょう。では紹介に移ります。
※下の句を見て、決まり字が思い出せるような、覚え方をしましょう
※決まり字は、現代語に準じた読み方で記載しています
決まり字紹介
七枚札
お札
「おく」
奥山に もみじ踏み分け 鳴く鹿の 声聞くときぞ 秋は悲しき
覚え方:声が奥から聞こえる(こゑ、おく)
解説:まあ、シンプルな覚え方だよね。下の句の二文字目の「ゑ」とかも目立つので比較的印象に残りやすく覚えやすい札かな。
小倉山 みねのもみじ葉 心あらば いまひとたびの みゆき待たなむ
覚え方:小倉みゆき(みゆき、おぐ)
解説:普通にいそうな人名です。決まり字自体は「おぐら」ではなく「おぐ」なのでそこだけは注意してねー
「おも」
思いわび さても命は あるけれど うきにたえぬは 涙なりけり
覚え方:うきが重い(うき、おも)
解説:「うき」ってあの海とかに浮いてるやつですね。実際は軽いんですけどね… 軽くないといけないくせに重い! みたいな感じで覚えてみましょう。
「おと」
音に聞く 高師の浜の あだ波は かけじや袖の 濡れもこそすれ
覚え方:欠けた音(かけ、おと)
解説:音楽聞いてて、なんか足りないなー なんか音欠けてんじゃない? って感じ。「かけ」と「おと」を結びつければなんでもいいよー
「おおえ」
大江山 いくのの道の 遠ければ まだふみもみず 天橋立
覚え方:まだ大江?
解説:大江というのは京都にある地名ですね。歌に詠まれている大江と一緒だよ。車でどっかに向かっている途中に「今どこ?」「大江」「まだ大江!?」みたいな会話のイメージ。決まり字が「おお」から始まるのはこの札の他に後2枚あるんだけど、それら3枚を共札というかは微妙だね… このサイトでは基本的に二枚一組で考えてこれら3枚は例外という扱いにしたいと思う。
「おおけ」
おおけなく 浮世の民に おおうかな 我が立つ杣に 墨染の袖
覚え方:我が立つ王家(わかたつ、おおけ)
解説:王様がいうセリフかな。「おうけ」ではなく「おおけ」なのでその辺は気を付けよう。まあ、音的には一緒だから深く考えなくてもいいかもしれない。
「おおこ」
あふことの 絶えてしなくば なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし
覚え方:人を追う子(ひとを、おおこ)
解説:書かれている文字は「あふこ」なんだけど、読まれる音的には「おおこ」になるよ。覚え方はかなり苦しいけど、なんとかイメージとリズムで覚えてもらえれば…
わ札
わびぬれば 今はた同じ 難波なる 身を尽くしても 会わむとぞ思う
覚え方:みおもわびる(みを、も、わび)
解説:「みお」は人名ですね。誰かと一緒にみおもわびる、ってイメージです。後で出てくる「なにわえ」という札の下の句が「みをつくしてや」なので、そことの区別をつけるために最初の「みを」に加えて「も」という文字も使って覚える必要があるよ。
忘らるる 身をば思わず 誓いてし 人の命の 惜しくもあるかな
覚え方:わすらもち(もち、わすら)
解説:これの有名な語呂合わせ。「わすらもち」っていう競技かるた用の読み上げアプリが存在するくらいなので笑 「もち」は一番上の段の左から読めば書いてるよ。順番的には「もちわすら」のほうがいいんだけど、「わすらもち」のほうが語感良いから、「もち」を見て「わすらもち」という言葉が思い出せればいいんじゃないかな。
共札:わすれ
「わすれ」
忘れじの 行く末までは かたければ 今日をかぎりの 命ともがな
覚え方:今日鍵忘れた(けふ、かき、わすれ)
解説:「けふをかき」までで今日鍵、そこから決まり字の「わすれ」につなげる。ちなみに、「けふ」ってのは読むときは「きょう」になるよ。同じように「てふてふ」で「蝶々」って読むんだけど、これは聞いたことある人もいるんじゃないかな?
共札:わすら
「わがい」
我が庵は 都のたつみ しかぞ住む よをうじやまと 人は言うなり
覚え方:世を我が意に(よを、わがい)
解説:魔王がいうセリフですね笑 世界を自分の意のままにするという感じ。なんか大げさな語呂合わせが多い気もするけど、まあ仕方ないかな…
共札:わがそ
「わがそ」
我が袖は 潮干に見えぬ 沖の石の 人こそ知らね 乾く間もなし
覚え方:乾く我が袖(かはく、わがそ)
解説:「やえ」と途中まで下の句が一緒なので、途中の「かはく(かわく)」をキーに覚える。決まり字の「わがそ」でいい語呂合わせ思いつかなかったので、元の「わがそで」を使ってます。乾くとの関係もつなげやすいしねー
共札:わがい
「わたのはらや」
わたの原 八十島かけて こぎ出でぬと 人にはつげよ あまのつり船
覚え方:人には綿谷(ひとには、わたや)
解説:人には綿谷と呼ばれる、見たいな自己紹介ですね。『ちはやふる』の新の苗字はこっから来てると思われる。
共札:わたのはらこ
「わたのはらこ」
わたの原 こぎ出でてみれば 久方の 雲居にまごう 沖つ白波
覚え方:雲に紛う綿子(くもにまかふ、わたこ)
解説:雲のような綿の子供、という語呂合わせ。少し強引なのは…まあいつものことだね笑 強引でも覚えちゃえすればいいので、なかなか覚えられない札は直感的にこじつけて覚えるのもありかな。
共札:わたのはらや
八枚札
な札
「なつ」
夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらむ
覚え方:雲の夏
解説:「くも」から始まる札は他にもあるので、「くもの」までを使って覚える。雲といえば夏っぽいから比較的覚えやすいかと。
「ながら」
長らえば またこの頃や しのばれむ うしと見し世ぞ 今は恋しき
覚え方:牛ながら
解説:牛ながらめっちゃ速く走る、とかそういう感じで覚えてもらえれば。「ながらうし」みたいな語感のいい言葉で覚えるのもあり。「わすら」のときの「わすらもち」みたいなイメージだね。
共札:ながか
「ながか」
長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れてけさは ものをこそ思え
覚え方:乱れて長かった髪(みたれて、ながか)
解説:散髪行く前の髪の様子ですね。元の歌も「髪」との縁語で「ながか」とか「みだれて」とか使ってるので、割と正当な覚え方。
共札:ながら
「なげき」
嘆きつつ ひとりぬる夜の 明くる間は いかにひさしき ものとかは知る
覚え方:嘆きイカ(いか、なげき)
解説:「わすらもち」「ながらうし」に引き続く「なげきいか」。なんかこの辺まとめて覚えると割とすんなり覚えられるかもしれない。コツはこの言葉を何回も唱えることかなー 自然とこれらの言葉が染みついてくるよ。
共札:なげけ
「なげけ」
嘆けとて 月やはものを 思はする かこち顔なる 我が涙かな
覚え方:過去を嘆け(かこ、なげけ)
解説:割とシンプルな覚え方。な札は「なげ」「なが」と似たような音が多いのでややこしいと思うけど、何度も繰り返して一つ一つ確実に覚えていこう!
共札:なげき
名にし負わば 逢坂山の さねかづら 人に知られで 来るよしもがな
覚え方:人に何してる!
解説:親が子供を叱ってるイメージですかね。相変わらず「ひと」シリーズはややこしいです… この「なにし」なんですが、次に出てくる「なにわえ」「なにわが」と「なに」まで一緒なんですが、あまりこれらの札と共札ということはないかな。「おお」系の札に次いで、共札の例外に当たるよ。
難波江の 葦のかりねの 一夜ゆえ 身を尽くしてや 恋わたるべき
覚え方:身をや難波へ(みを、や、なにわえ)
解説:「わび」の札と「みをつくして」まで一緒な札。この二枚は「みをつくして」の後の文字である「も」と「や」をそれぞれ「わび」と「なに」にどうにかして結びつける風にして覚える方がいいんじゃないかな… 個人的には、「も」→丸い→「わ」 「や」→シャープ→「な」のイメージで覚えてるよ。この辺の感覚は人によって違うと思うので、まあ何度も繰り返すしかないね。
共札:なにわが
「なにわが」
難波潟 短き葦の 節の間も 会はでこの世を 過ぐしてよとや
覚え方:泡で難波が…(あはで、なにわが)
解説:泡で難波が覆われた! とかそういう光景を思い浮かべてもらえれば。難波は大阪の地名だよ。昔は京都に都があったから、和歌とかに詠まれる地名は、関西のものが多くなりがちだね。
共札:なにわえ
おわりに
いやー長くなりましたね。個人的には、ここで紹介した札たちが一番覚えるの苦労しました。その証拠に、覚え方もかなり強引になってきてます… 本当に、な札やお札は最後まで覚えられなかった記憶があります。
三字決まりや下の句が似たような札が多くなってきて覚えるのも大変になってきましたが、決まり字紹介シリーズも残すところ「あ札」のみ! 何度か触れていますが、あ札は三字決まりが多く、共札が6組も存在します。まあ、後16枚なのでここまで紹介してきた数に比べれば大したことないですね(そんなことないか?)。とにもかくにも、次回が決まり字紹介最終回! ラストスパート頑張りましょう。