
競技かるたの始め方シリーズ第2弾ー! 今回は前回の予告通り、競技かるたのルールを説明します。ルールっていっても、細かいところまでやっちゃうとややこしくなっちゃうから、今回は基本的なところだけです。それではさっそく始めます!
目次
試合の流れ
使う札は100枚中50枚
競技かるたは百人一首を使うのですが、百人一首っていうぐらいなので、全部で札は100枚あります。でも、実際試合で使うのは半分の50枚! この50枚をさらに自分と相手で半分ずつ、つまり25枚ずつ分けて、お互いの陣地に並べます(陣地についてはこちら)。
そして、使われなかった残りの50枚ですが、これらは箱にしまっておきます。この使われなかった札たちは「空札」といって、この札が読まれたときは札に触ってはいけません。もし、触ってしまうと「お手つき」になるので気を付けましょう! (お手つきについてはこちら)。
札の配置を覚える
お互いが並べ終わったら、次は「暗記時間」なる、並べてある50枚の札を覚える時間が始まります。この「暗記時間」は15分あります。つまり、15分で50枚の札がどこにあるかを覚えなければなりません。最初は無理そうに思えるけど、慣れてきたらだんだんできるようになるので、そこまで頑張りましょう!
そして、暗記時間が残り2分になったら、素振りができるようになります。最初は何でこんなことしてんだ、って思うかもしれないけど、身体を使って暗記するのは、競技かるたにおいて大事なことなのです。この素振りについては、いつか記事にしようと思います。
自分の陣を先に無くしたほうが勝ち
暗記時間が終わると、いよいよ試合開始! 試合が始まったら、まず対戦相手と、読み手に「よろしくお願いします!」と礼をします。その後、札が一枚ずつ読まれて、それに対応した札を取るんだけど、ここでキーになるのは、勝敗は取った枚数ではなく、自分の陣をどっちが先に無くしたかで決める、ということです。具体的に言うと、
自陣の札を取る→そのまま自陣から札が一枚減る
敵陣の札を取る→自陣から一枚札を送ることで、自陣から一枚減る
といった形で、お互いに札を減らしていって、最終的に先に自陣の札が無くなったほうが勝ち、ということですね。試合が終わったら、試合が始まったときと同様、対戦相手と読み手に向かって「ありがとうございました!」と礼をするのも忘れないように!
札の並べ方
以上、試合の流れはだいたいこんな感じです。なんとなく印象はつかめたでしょうか? 文章だけじゃちょっと、分かりにくいと 思いますが、おおざっぱにでもイメージを持って実際の試合に臨むと、「ああ、こういうことか」ってのがわかると思います。
さて、次は札の並べ方のルールになります。上で出てきた陣地というのがどういうものか、どういう風に並べるのか、といったことをここでまとめて解説します。
札の並べ方のイメージ
札の並べ方については、言葉よりイメージで見てみるほうがいいでしょう。
だいたい、こんな感じです。この画像を基に、もう少し細かいところを見ていきます。
自陣と敵陣
上の画像の中で、文字がこっちに向いてて読みやすい方と、逆向きで読みにくい方とがあります。文字がこっち向いてて読みやすい方を自陣といい、これは自分が並べます。逆に、読みにくい方を敵陣といい、これは相手が並べます。この辺は感覚的にも分かりやすいのではないでしょうか。
ここで注目してほしいのは、自陣と敵陣の間。ここの間は3cm、もしくは畳目3つ分であると決まっています。畳目があるときは、画像のように畳目を基準に並べればいいのですが、ないときはだいたい指3本分の長さを開けて並べます。まあ、極端に広かったり狭かったりしなければ、問題ないでしょう。
自陣の並べ方
今度は自陣だけに注目してみると、三段に分かれているのが見て取れます。これを上から、上段・中段・下段といいます。
この”段”というのはルールで決まっているため、勝手に段を増やしたり、二段にまたがって札を置いたりすることは出来ません(ただし、たとえば上段に一枚も札を置かない、というようなことはできます)。
各段の間はこれも1cm、もしくは畳目1つ分であると決められています。畳目がないときは指一本分開けるとちょうどいいでしょう。
なお、一般的に競技かるたでは各段の札を右端、左端ぎりぎりまで寄せて並べるが、これは特にそうしなければならない、という決まりがあるわけではありません。画像のように真ん中にポツンと一枚だけ札を置いてもかまわないし(これを浮き札とか言ったりします)、ちょっとずつ間を開けて並べても問題ありません。
ちなみに、下段の中で右に寄せた札たちを“右下段”、左に寄せた札たちを“左下段”といった言葉で呼びます。中段や上段もそれぞれ“右中段””左中段”、“右上段””左上段”、といった風な呼び方をします。
最後に、横幅ですが、これは87cmと決まっています。「そんなのどうやって測るんだよ!?」といわれそうですが、選手は皆さん、腕を使って測っています。こればっかりは、かるた会に行って直接教えてもらった方が早いですかね…
全員ピッタリ測れるのかっていわれたらそんなことないですし、だいたい合っていれば問題ないです。ちなみに、この横幅は札16枚半の長さとも言われているので、これを基準に測り方を覚えるといいでしょう!
札の取り
最後は札の取りについての説明です。どういうときに自分が札を取ったことになるのか、また、どういうときにお手つきになるのか、といったようなことを解説していきます。
札の取り方
札の取り方は大きく分けて二つ。一つは読まれた札を直接手で触って取る取り方。もう一つは、読まれた札を競技線の外に飛ばす取り方になります。
直接触って取る
まずは、読まれた札を直接触って取る取り方。これは特にいうことないですね。“札直”などと言われていて、一番確実な取り方といえます。
札を押し出して取る
こっちは逆に少し説明がいりますね。競技かるたにおいては、札を直接に触らずとも、自分の取りにできる方法があります。それが、競技線の外に札を押し出す、ということです。
ちなみに競技線というのは、(2)で説明した、横幅87cm、縦は自陣の下段から敵陣の下段まで、の長さで囲まれた線のことをいいます。さっきの画像でいうと、札で囲まれた大きな四角形が競技線に当たります。
たとえば、一番外側にある札が読まれた札だったとしたら、その札に直接触らなくても、もうちょっと内側のほうから札を払って、その勢いで読まれた札が競技線の外に出たら、それは自分の取りになる、という感じです。
こういうルールがあるから、競技者はみんな、大げさともいえるぐらい札をぶっ飛ばしているのです。
お手つきの基本ルール
基本ルール説明もこれで最後! 次はお手つきについて。お手つきにも大きく分けると二つあって、それが空札のお手つきと逆の陣を触るお手つき、になります。厳密には一言で定義できるんですが、わかりやすくするために二つに分けて紹介します。
…とその前に、お手つき共通のルールとして、お手つきをしたら相手から札を一枚送られるという、ペナルティがあります。相手の陣地が一枚減り、自分の陣地が一枚増えるため、一気に枚数差が広がってしまいます。ペナルティが大きいので気を付けましょう。
空札のお手つき
まずは空札のお手つき。空札とは(1)①で説明した通り、その試合において使われない札のことなんですが、空札が読まれた場合は、どの札を触ってもお手つきになります。ちなみに、空札が読まれたときに、自陣を触っちゃったとして、その後に別の自陣の札を触る分には一回のお手つきですむのですが、もし敵陣の札も触っちゃったらお手つきを二回したもののとみなされて、札を二枚送られることになります(これを空ダブといいます)。
逆の陣を触るお手つき
次は読まれた札と逆の陣を触るお手つき。競技かるたには札押し、という取り方が認められている以上、読まれた札と同じ陣地にある札はいくら触っても問題ありません。ですが、読まれた札と逆側の陣を触った、となると話は別で、これはお手つきになります。
ここから、少し応用になるのですが、競技かるたにおいて、お手つきの札の送りと、相手陣を取ったことによる札の送りは、それぞれ別の処理として行われます。
すなわち、自陣の札が読まれたにもかかわらず、敵陣の札を触ってしまい、かつ、相手がその読まれた札を取った場合、お手つきのペナルティで一枚、自陣を取られたことで一枚、合計二枚の札が送られることとなる(これをダブル、略してダブという。先ほどの空ダブというのは、空札でダブ=2枚送られる、ということです)。
ちなみに、相手が札を送る(自分がお手つきをしたなど)かつ、自分が札を送る(自分が相手陣を取ったなど)といった、お互いに一枚ずつ札を送る状況になった場合は、相殺して互いに送り札なしという処理をします。
ちょっとややこしい話になっちゃいましたが、詳しいことはこちらの記事にもまとめてあるので、よかったら参考にしてみてください。→これで完璧! お手つきのルール徹底解説
おわりに
競技かるたの基本ルールはこんなところですかね。競技かるたの詳しいルールは、競技かるたの始め方(1)で紹介した全日本かるた協会のホームページなんかにも書いているので、気になる方はチェックしてみてください。
一応ここにもう一回貼っておきます(右側の目次の”競技関係規程”というところをクリック!)。
さて、次回は決まり字についての説明になります。これを覚えないと競技かるたができないも当然なので、今回の基礎ルール同様しっかり覚えていきましょう!
前回>>競技かるたの始め方(1)ーまずは見学! でもその前に…