拾う

 今回は、この間S級(A級大会優勝経験者)の方に、A級で通用するために、と教えていただいた練習法を紹介します。

 

 先に言っておくと、今回はかなり上級者向けの記事になっています。個人的な感覚でいくと、少なくともB級以上の方が対象かなーと思います。

 

 もちろん、D級選手の方が試してみてもいいのですが、すごく混乱してしまうのではないか、と思われます。D級時代にこのような練習をしたことがないので、推測でしかありませんが…

 

 「A級選手にスピードでは負けていないと思うんだけど、なんか勝てないんだよなー」と思えるようになっているのであれば、この記事が役に立つかもしれません。

 

 

拾う

 

 

 

A級に通用するための練習、それは…

 もったいぶっても仕方ないので、結論から言うと、無駄な手を一切出さないようにすることです。より、具体的にいうならば、空札では一切手を出さず、当たり札も、決まり字が確定するまでは一切手を出さないようにする、ということです。

 

 たとえば、敵陣に「やまが」があるとき、「やす」「やえ」が読まれても手を出さないのはもちろんのこと、「やまざ」が読まれても一切手を出さないようにします。

 

 また、敵陣に「やまが」、自陣に「やまざ」があるときでも、「やま」で敵陣に手を伸ばしたりせず、3音目まで手元で聞いてから、あたりの方に手を出します。

 

 このように、決まり字の最後の文字を意識した暗記をすることで、拾える札を増やしていきます。

 

この練習の目的

 この練習の目的は、先ほども書きましたが、札が拾えるような暗記の感覚を身に着けることです。

 

 ですので、この練習をすると決めたなら、基本的に勝ち負けにこだわる必要はありません。つまり、負けそうだからといって、いつも通りの暗記に戻し、一音目や、二音目で反応していくかるたをしてしまってはいけないということです。

 

 もちろん、この暗記方法の範囲内で、どうすれば勝ちにつながるか、ということを考えるのは必要です。

 

 これらの要素を鑑みると、いきなり対A級やB級でこの練習をするのではなく、まずはD級C級相手に試してみるのが得策といえそうです。A級やB級の選手とやると、どうしても相手の速さにつられて、待てなくなってしまいますからね。その手の速さにもにも動じず、自分の練習を貫ける自信のある方は、同じレベルや、上のレベルの人に試してもいいかもしれません。

 

この練習の効果

 この練習の効果ですが、まず、自分がいかに暗記をごまかしていたかがわかります。

 

 競技かるたでは、先に手を出すことによって、相手の邪魔をしたり、相手の暗記を妨害することができます。その先に手を出す、という行為にいかに自分が頼っていたのか、ということが身にしみてわかります。

 

 A級になってくると、だんだんそれが通用しなくなるので、よりしっかりした暗記が必要になってくるのです。

 

 他にも、札を拾って勝つ、という感覚が身につきます。

 

 この練習は、取られる札は、もう本当に何もすることなく取られてしまいます。しかし、相手が変なところに手を出したり、札の空中で止まったりしているところを、きっちりと取ることができます。

 

 ああ、これがベテランの人がよくいう、「速さだけならそっちの方が速いよー」っていう気持ちなんだな、ということがだんだんわかってきます。

 

 最後に、空札の反応が、なんとなくのものなのか、決まり字を聞こうとして手を出しているのかがわかるようになります。

 

 たとえば、「やまが」が場にあり、「やまざ」が空札で、「やまざ」が読まれたときの反応。なんとなく手を出す、というのは、「やま」、と聞こえたため、「やまが」の方に手を出す、とうものです。

 

 これに対し、決まり字を聞こうとしているときは、「やま」と読まれた時点で、次の音が「が」だったら取る、違ったら避ける、ぐらいの整理が頭の中でついています。つまり、決まり字の最後に集中して、札を取ろうとしている状態です。

 

 このような感覚が、練習をしていくうちに何枚か出てくるようになります。練習中は、空札だと動かないようにするのですが、この感覚がマスターできれば、空札でプレッシャーをかけることもできるようになります。

 

この練習の注意点

 最後に、この練習の注意点として、まず、勝ち負けにそこまでこだわらない、というのがあります。

 

 練習の目的にも書きましたが、たとえば、この練習だと、大山札なんかは、ほとんどとれません。最終的には、もちろん囲いに行くのですが、この練習で、決まり字の最後を意識する感覚が身につくまでは、やはり我慢が必要になります。

 

 そこで、負けそうだからと先に囲っても、なんとなくの手の出し方であるなら、練習の意味がありません。練習の範囲内で勝つ意識は大切ですが、目的を忘れないように心がけましょう。

 

 あともう一つ、特にB級とかの方で、大会前にこの練習をするのはやめましょう。A級になるには、これを身につけなくてもなれます。

 

 この練習は慣れないことをしているため、感覚が身につくまではどうしても弱くなってしまいます。元から比較的決まり字直前まで待つタイプの方はいいのですが、割と早めに手を出していくタイプの人は、大会直前にはこの練習は控えましょう。

 

 ただし、大会まで2か月や3か月以上の間がある場合は、やってみて得るものは大きいかもしれません。

 

おわりに

 今回はS級の方に教わった練習方法を紹介してみました。競技かるたは、最終的には自分で上達する方法を見つけなければなりませんが、やはり一定のレベルまで到達した人の指導は、ためになることばかりです。

 

 100%それをまねする必要はありませんが、その指導にこめられたエッセンスを抽出して、自分の中に落とし込むことができたならば、間違いなく競技かるたの技術は向上することでしょう。

 

 今回は最初にも書きましたが、かなり上級者向けの内容になっています。初心者の方などは、今言っていることがわからなくても、ある程度のレベルに達すれば、「なるほど、こういうことか」と、納得できる部分が出てきますので、初心者に向けた記事を読んで、レベルアップを図ってください。

 

それでは!