
皆さん競技かるたで一番大事なことって何だと思いますか?
感じ、暗記、諦めない心、などなど皆さんそれぞれ思いつくところがあるでしょう。そんな中、私がこれまで競技かるたに取り組んできて、一番大事だなと感じているのがバランス感覚です。
割と抽象的な概念ですが、だからこそいたるところで応用が利くと思っています。
そこで今回は、私が考える競技かるたにおけるバランス感覚の大切さについて、必要とされる具体的な場面を想定しながら紹介します。
具体例①:熱さと冷静さのバランス
まずは、熱さと冷静さのバランスを考えてみましょう。ここでいう熱さや冷静さというのは、主に試合に対する向き合い方ですね。
それぞれ特徴を挙げると、
○熱さ
・試合に絶対勝ってやる!という気持ちが強い
・集中力が高い
・勢いがあり、相手にプレッシャーを与えられる
・周りがあまり見えていない
・速く取れる分、お手つきも増える
○冷静さ
・心に余裕を持てている
・試合を長い目で見ることができる
・よくも悪くも、なんとかなると思っている
・相手のペースを意図的に崩すのは難しい
と、こんな感じになります。どちらもそれぞれ良い点、悪い点が存在しているのが見て取れますね。
さて、大事なのはここからで、この熱さと冷静さですが、試合中にどちらかに偏ってしまうのはあまりベストな状態とはいえません。
たとえば、熱さのほうに偏ってしまうと、安定感に欠き、流れに乗れているときは気持ちよくかるたが取れますが、一度崩れるとたちなおすことが難しくなります。また、もめなどの主張が激しくなってしまい、そこからリズムが崩れることも考えられます。
逆に冷静すぎるのも考え物で、なんとかなる、なんとかなると思っているうちに、相手の勢いがとまらず、ずるずる負けていったり、試合に集中しきっていないため、普段負けないような相手にあっさり負けてしまうこともあります。
そこで、この2つの状態を、ちょうどいいバランスで保つことが必要になってくるのです。今自分が熱くなっているな、と思えば冷静になってみようとし、ちょっと冷静すぎるなと思えば、メラメラと闘争心を燃やす、このように自分を管理するのが大事です。
具体例②:ストレスとリラックスのバランス
次にストレスとリラックスのバランスです。ストレスというと、ないほうがいいパフォーマンスを発揮できるのではないか? と思われるかもしれませんが、適度のストレスは、むしろパフォーマンスを上げるために必須なのです。
というのも、リラックスが優位になりすぎてしまうと、向上心であったり、競争心といった類のものが一切発揮されなくなってしまうのですね。普段の練習であったり、大会に変に慣れてしまったりすると、このような状態になってしまいます(体験談)。
つまり、ここでもちょうど良いバランスが、大事になってくる、というわけです。
基本的には、普段の練習なんかでは、よくやる対戦相手ということもあり、緊張感が薄れてきますので、ストレス、刺激と言い換えてもいいかもしれませんが、こういったものを、意識的に与え、大会など緊張する場では、リラックスするように心がけるといいと思います。
具体例③:敵陣と自陣のバランス
上記2つの具体例は、主にメンタルに関するバランスでしたが、このバランスはどちらかというと、テクニック的なバランス感覚です。
競技かるたでは、定位置や、距離の関係で、何も考えないで暗記すると、必ず自陣のほうにバランスが偏ってしまいます。ですので、指導者の方々は、みんな声を揃えて、「敵陣を攻めろ!」と初心者に教えるのですね(この辺の話については、攻めがるたと守りがるたの記事も参考にしてみてください)。
この競技かるたの基本である、敵陣を意識する、というのも自陣と敵陣、両方をバランスよく取るために編み出されたセオリー、といえるでしょう。
さて、この敵陣と自陣のバランスですが、私の経験上では、敵陣にバランスが偏る、ということは、ほとんどないと思います。敵陣20枚取ったけど、自陣1枚も取れずに負けた、などといった例を、私は聞いたことがありません。
ですので、こと敵陣と自陣のバランス、という点に関しては、敵陣より自陣にバランスがよっていないか、ということを試合中常に考えることが、大事になってきます。
私も、試合中に敵陣が取れてないな、と感じると、敵陣の右下段を中心に、おもいっきり暗記を敵陣に偏らせることがあります。そうすると、自分の中ではものすごく敵陣に暗記が偏っている気がするのですが、不思議と、敵陣、自陣、バランスよく札が取れるようになったりします。
ですので、皆さんも試合中に敵陣が遠く感じたら、おもいきって敵陣に暗記を偏らせる、という作戦を、ひとつの打開策として使ってみてください。
おわりに
今回は、競技かるたにおける、バランス感覚についての記事でした。
バランス感覚を保つには、今の自分がどのような状態にあるかを、客観的に観察する必要があります。そのような自己分析ができて初めて、バランスを取るために軌道修正をすることができます。
ですので、普段から自分は今どのような状態でかるたをしているのか、ということを意識する訓練をしてみてください(自分の状態を知るための参考記事です!→競技かるたのレベルアップには、自己との対話が必要)。
今回挙げた例以外にも、さまざまなバランス感覚が存在すると思います。なんだか、最近思ったようにかるたが取れないな、と感じる場合は、自分の中でどこかバランスがおかしいときですので、不調を感じたときは、ぜひ一度自分の中のバランス感覚を確かめてみてください(不調との向き合い方については、こちらも参照ください!→競技かるたにおける不調との向き合い方)。
それでは!