
皆さん、払いの練習ってしていますか? 初心者の方はもちろん、上級者の方でも普段から払いの練習をしている方は多いと思います。
かくいう私はA級になるまで、払いの練習は、本当に初心者の時期以外は不要だと考えていました。というのも、ある程度のレベルになると、払いの技術なんかより、暗記の方法だったり、メンタルの保ち方だったりの方が大事だと考えていたからなんですね。払いがどんなにへたくそでも、暗記がしっかりできていれば、試合には勝てると思っていました。
今ではその理論は半分正解だけど、半分間違っていると思っています。つまり、払い練習は暗記やメンタルに比べたら優先度は低いが、時間があるならやるべき、という理解をしています。
そう思えるようになったのも、払い練習をする目的が明確になったからなのですが、今回は、払い練習をするべき理由を、初心者、上級者のそれぞれに分けて書いていきます。
初心者の払い練習
初心者が払い練習をする意味は、そう難しくないです。簡単にいうと、札を払うという行為に慣れるためです。
札を払うというのは、慣れるまではなかなか難しい行為で、何度も繰り返して行わなければ体が覚えません。
試合をこなしているうちに、だんだん払えるようになってはきますが、早く慣れるためにも、個別に払いの練習をした方がいいでしょう。
ここで、初心者が払いの練習をする際に、注意してほしいポイントを二つあげます。
一つ目は、敵陣右下段、左下段の払いを重点的に練習することです。
敵陣右下段、左下段は、自分から見て一番遠いところですが、競技かるたにおいて、一番札を取りたいところでもあります。一番取りたいが、一番難しいところだったら、そこを徹底的に練習するしかないですよね。
また、一番遠いところがきっちりと払えるならば、ほかの場所は必然的に払えるようになりますよね。そういう意味でも、敵陣の右下段、左下段を重点的に練習してください。
二つ目は、払うときに、一回一回、しっかりと構えなおすことです。
初心者の方の払い練習を見ていると、まだ慣れていないからか、ろくに構えもせずに、ただやみくもに札を払っていることが多々あります。
大事なことは、実際の試合を想定して払いの練習をすることです。実際の試合でしないような、払いの練習をしてもそれは意味がありません。
一枚一枚、札を払うたびに、実際の試合で行う構え方をして、頭の中で、自分が払おうとしている札が、読まれたことを想定しながら、払いの練習をするように心がけましょう。
そうすることで、どんな場所にある札でも同じ構え方で払うことができ、札の払い方が体に染みついてきます。
上級者の払い練習
初心者に比べて重要度は下がるかもしれませんが、上級者も払いの練習は必要です。上級者が払いの練習をするのは、きれいな払い方を自分の中で定着させるためです。
ここでいうきれいな払い方というのは、初心者の見本となるようにだとか、上級者にふさわしい美しい払い方みたいな、見栄えの良さというのもありますが、それとは別に競技でも生かされます。
結論から言うと、抜けている札や、暗記がちょっとあやふやな札に対しての取りが厳しくなります。
上級者になってくると、普段払いの練習ではしないような取り方をすることが多々出てきます。それはそれで必要ですが、そればかりに頼りすぎると、とっさの時に普段の払いができず、少し遅れてしまうことになります。
この少し遅れるというのが、上のレベルでは響いてきます。いってしまえば、このほんの少しの差を埋めるために、払い練習が必要になってくる、といえるわけです。
さて、上級者が払いの練習をするときですが、意識してほしいポイントが一つあります。
それは、目的をもって払いの練習をする、ということです。
上級者にもなってくると、ある程度払いの形は自分の中で出来上がっていると思います。それをどのように強化していくのか、という目的意識をもって取り組んでもらいたいのです。
たとえば、払うときの手をより低くするのか、払うときの手のスピードを上げるのか。もしくは、体の使い方を意識して、今よりもっと払いやすいフォームにするのか。このように、何か目的をもって払いの練習をすることで、払いの練習の意味が出てきます。
ただ、なんとなく払う、というのでは、効果が薄くなるどころか、全く意味がないと、個人的には思っています。
おわりに
今回は払いについての記事でした。私はB級のころは払いの練習をほとんどしなかったのですが、それが原因なのか、敵陣の札を取りこぼすことが多かったように思えます。
それが嫌でA級になってからは、積極的に払いを行っていますが、いかんせん長い間払いをさぼっていたため、なかなかきれいな払いが試合中にできずに、今現在困っているところです。
皆さんはこのような状態にならないためにも、練習の合間など、空いた時間があれば積極的に払いの練習をしてみてください。指導するときにも、自分がしっかり払いの練習をしていないと、何を言えばいいのかわからなくなってしまいますからね(経験談です笑)。
それでは!