あしびきの

 競技かるたの始め方、決まり字紹介編もいよいよラストパート! 今回は最後に残ってるあ札を紹介します。あまり関係ありませんが、あ札のことはあんまり十六枚札とは言わないので、下の見出しはあ札のみにしてます。一字決まりを一枚札と言わないのと一緒ですね。

 

 前回の最後にも書きましたが、あ札は三字決まり、共札の数がかなり多いです。それだけで覚えるの大変そうに見えますが、個人的にはあまり決まり字を覚える段階で大変だと思ったことはなかったですね。以外に覚えやすい気がします。まあ、実際に見てみた方が早いですね。それでは、決まり字紹介ラスト、あ札の紹介です!

 

※下の句を見て、決まり字が思い出せるような、覚え方をしましょう

※決まり字は、現代語に準じた読み方で記載しています

 

決まり字紹介

あ札

「あい」

あいみての

逢い見ての 後の心に 比ぶれば 昔はものを 思わざりけり

覚え方:昔の愛(むかし、あい)

解説:まあ、シンプルな覚え方だよね。…うーん、それ以外特にいうことないかな。

 

「あし」

あしびきの

足びきの 山鳥の尾の しだり尾の 長々し夜を ひとりかも寝む

覚え方:長い長い足(ながなが、あし)

解説:長い長い足長おじさんの札。「なか」から始まる札は他にも何枚かあるので、「なかなか」まで使う。「なかなか足が…」うんぬんかんぬん、みたいに覚えることも出来そうだね。

 

「あけ」

あけぬれば

明けぬれば 暮るるものとは 知りながら なお恨めしき 朝ぼらけかな

覚え方:なおうらめしい明け方(なほうらめし、あけ)

解説:歌の意味とだいたい一緒だね。「もも」と雰囲気が似てる札なので、ややこしいと思う人は2枚並べて覚えてみてもいいかも。

 

「あきの」

あきのたの

秋の田の かりおの庵の 苫を荒み 我がころもでは 露にぬれつつ

覚え方:我が露は秋のもの(わか、つゆ、あきの)

解説:「きみがためは」と下の句が途中まで一緒な札。あちらが「ゆき」なのに対し、こちらは「つゆ」。その辺の違いを意識して覚えていくと整理されていいんじゃないかな。

共札:あきか

 

「あきか」

あきかぜに

秋風に たなびく雲の 絶え間より もれいづる月の 影のさやけさ

覚え方:もれ出づる秋香(もれいつる、あきか)

解説:「もれいづる」っていうのは「もれ出でる」のことなので、秋の香りがもれ出でる、という素敵な覚え方。秋の香りっていうと、焼き芋とかの甘い香りかな。うーん、おいしそうな札に見えてきた。

共札:あきの

 

「あまの」

あまのはら

天の原 ふりさけ見れば 春日なる みかさの山に いでし月かも

覚え方:ミカサ=アマノ(みかさ、あまの)

解説:天野みかさ、という人名の英語表記ですね。下の句から決まり字思い出さなきゃいけないのでこういう書き方にしたけど、普通に「天野みかさ」でもいいんじゃないかな。「おぐ」の小倉みゆきに続く、完成された人名語呂合わせだね。

共札:あまつ

 

「あまつ」

あまつかぜ

天つ風 雲の通い路 吹き閉じよ 乙女の姿 しばしとどめむ

覚え方:天津乙女

解説:「天津」っていうのは「天の」という意味。つまり「天の乙女」という意味。「乙女」→どこの?→「天津(天の)」という流れだね。

共札:あまの

 

「あらし」

あらしふく

嵐吹く 三室の山の もみじ葉は 竜田の川の 錦なりけり

覚え方:竜の嵐(たつ、あらし)

解説:竜って嵐をまき起こしそうじゃないですか? なので「竜の嵐」。まあ、他にも竜田って地名を使ってもいいし、竜田揚げなんて料理と組み合わせるのもありだね。決まり字も「あらし」なんて使いやすいフレーズなのでそこまで覚えるの苦労しないんじゃないかな。

共札:あらざ

 

「あらざ」

あらざらん

あらざらむ この世のほかの 思い出に 今ひとたびの 逢うこともがな

覚え方:今会うアラサー(いま、あふ、あらざ)

解説:うーん、苦しい笑 「おぐ」と「いまひとたひの」まで一緒なので、「いま」と「あふ」を使って覚えるのがいいと思うんだけど、「あらざ」になかなか結び付かない… なので仕方なく、濁点を取った「アラサー」に結びつけてみたよ。「いま」「あう」を使って「あらざ」に結びつけるいい語呂合わせあったら教えてください!

共札:あらし

 

「ありあ」

ありあけの

有明の つれなく見えし 別れより 暁ばかり うきものはなし

覚え方:暁のアリア(あかつき、ありあ)

解説:「アリア」っていうのはオペラなどで使われる楽器の伴奏のある独唱曲のことです。「暁」っていうタイトルのアリアってことですね。個人的にこういう中二くさい語呂合わせは大好きです笑

共札:ありま

 

「ありま」

ありまやま

有馬山 いなの笹原 風吹けば いでそよ人を 忘れやわする

覚え方:いてーな、有馬!(いて、ありま)

解説:「いて」と「ありま」を結び付ける感じ。「いてー」でも「いーで」でもいける。有馬は人名のイメージだけど、地名にもあるので、まあどちらでも。

共札:ありあ

 

「あわれ」

あわれとも

哀れとも 言うべき人は 思おえで 身のいたづらに なりぬべきかな

覚え方:蓑哀れ(みの、あわれ)

解説:蓑虫が風にあおられて哀れ、みたいなイメージですかね。それにしてもあ札は決まり字が既存の言葉に置き換えられる札が多いね。そのおかげで決まり字覚えやすいのかな。

共札:あわじ

 

「あわじ」

あわじしま

淡路島 かよう千鳥の 鳴く声に いくよ寝覚めぬ 須磨の関守

覚え方:行くよ、淡路(いくよ、あわじ)

解説:淡路は地名ですね。淡路島とか有名だよね。その淡路に行くよ! と誰かを誘ってる絵です。まあ、シンプルで覚えやすいかな。

共札:あわれ

 

「あさじ」

あさじうの

浅茅生の 小野のしのはら しのぶれど あまりてなどか 人の恋しき

覚え方:あまりにも、浅知恵すぎる(あまり、あさじ)

解説:日本語としてはちょっと変だけど、ぎりぎり伝わる範囲じゃないかな。他には「あまり朝じゃない」とか。これも変な日本語だけど… この札も「なにし」と同じで、下の「あさぼらけ」の札たちと途中まで決まり字が一緒なんだけど、あまり共札とは言わないかな。

 

「あさぼらけあ」

あさぼらけあ

朝ぼらけ 有明の月と みるまでに 吉野の里に 降れる白雪

覚え方:吉野の朝はボアが出る(よしの、あさぼあ)

解説:「あさぼらけあ」を「あさぼあ」に略す。「ボア」ってのは蛇の一種ですね。イノシシでもいいよ(蛇:boa イノシシ:boar)。イノシシの方がイメージしやすいかな? 吉野ってのは奈良県にある地名で、歌に詠まれている吉野と同じだよ。

共札:あさぼらけう

 

「あさぼらけう」

あさぼらけう

朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらわれわたる 瀬々のあじろぎ

覚え方:現れる朝坊(あらわれる、あさぼう)

解説:自分で書いておいてなんだけど、「朝坊」ってなんだろ… 朝に歩いている坊主とかかな。うん、そういうことにしよう。つまり、「朝歩いていると坊主が現れた」というストーリーだね。以外にいい感じかも。

共札:あさぼらけあ

 

おわりに

 長かった決まり字紹介シリーズもついに終わりました! いやー長かった。最初にあ札は割と覚えやすいって書きましたが、これはあ札の決まり字だったり、下の句の最初の文字が、すごい語呂合わせに使いやすい、なじみのある言葉だからですね。やっぱり、最難関は前回ということになりそうですね。もちろん、個人差はあると思いますが。

 

 決まり字紹介シリーズの一番最初にも書きましたが、決まり字を覚える一番のコツは何度も繰り返すことです。一番いいのは実際に札を買って、その札を見ながらどんどん決まり字を声に出していうことです(これを”札流し”や”札落とし”といいます。参照:競技かるたの始め方(11)ー初心者がやるべき練習)。

 

 札がない場合は単語カードの表に下の句、裏に上の句を書いて覚えるという方法もできなくはないです(私も実際、最初はこの方法で覚えていました)。ただ、書くのも面倒だし、後から札は欲しくなると思うので、この機会にもう買っちゃいましょう。

 

 さて、次回のテーマは「定位置」について。定位置とは、簡単に言えば、百枚の札を毎回決まった場所に置こう、ということですね(詳細は次回)。

 

 次回はそのような定位置とは何か、定位置のセオリー、定位置の作り方、などといった定位置の基本的なことを説明していきます。決まり字覚えるのに飽きたら、ためしに定位置を作ってみる、っていうのもいいかもしれません。

 

次回>>競技かるたの始め方(9)ー定位置の作り方、基礎編

前回>>競技かるたの始め方(7)ー決まり字紹介part4