渡す人

 競技かるたを始めたての初心者が困ってしまう要素の一つに、「送り札」があります。基本的には、自分の好きな札を送ればいいのですが、やはりここにも、先駆者たちが作り上げたセオリーが存在します。

 

 「守破離」という言葉があるように、特に始めたばかりの初心者や、まだ段位を持っていない初級者レベルの人たちは、セオリーとされている送り札の考え方を学ぶことで、今後の成長につながります。

 

 ということで、今回は送り札の基礎を徹底的に解説します!

 

 

渡す人

 

 

 

そもそも送り札って?

※送り札が何か知ってるよ! って人はここの項目飛ばしてもらって大丈夫ですー

基本は相手陣を取ったときに発生する

 競技かるたの始め方(2)ー競技かるたの基礎ルールでも軽く説明していますが、競技かるたは自分の陣地をなくしたほうが勝ちになります。でも、敵陣の札を取ったときに、何もしないと、単に敵陣の札が一枚減ることになって、せっかく取ったのにいいことが一つもないよね。

 

 そこで、敵陣の札をとったときは、相手に一枚「札を送る」ことで、自陣の数を一枚減らすとともに、相手の陣は一枚も減らない、という状況を作り出します。この相手に送る札のことを「送り札」と呼んでいます。

 

お手付きのペナルティとしての送り札

 基本的には、敵陣の札を取ったときに発生する送り札ですが、もう一つ、送り札が発生する場合があります。それが、相手がお手付きをしたとき、ですね。

 

 お手付きと送り札の関係についても、基本的なことは競技かるたの始め方(2)ー競技かるたの基礎ルールで説明していますが、改めて簡単に説明しておくと、読まれた札が存在しない陣地にある札を触ったときにお手付きになり、そのお手付きのペナルティとして、札を一枚送る、という感じですね。

 

 敵陣を取ったときの送り札は、敵陣からなくなった札の代わりに一枚送るというものでしたが、お手付きの場合は、敵陣から札がなくなったわけでもないのに、一枚送ることができる。

 

 つまり、自陣からは一枚減り、敵陣は一枚増えることになり、相手と一気に二枚もの差がつくことになります。

 

 なお、お手付きの送り札と、敵陣を取ったことによる送り札は、重複します。たとえば、敵陣を取り、かつ相手がお手付きをすると、こちらは敵陣を取った分と、お手付きをした分で、合計二枚送ることができます(これをダブル、略してダブと呼んだりする)。

 

 また、敵陣を取ったが、自分もお手付きをした場合は、自分が一枚送れると同時に、相手も一枚送ることができます。しかし、競技かるたでは、双方が送り札をすることができるような場合は、どちらも送り札をしない、という処理をするので、この場合は送り札はどちらにも発生しないことになります。

 

送り札のセオリー

 さて、ここから実際に送り札をするときにどういう札を送ればいいのか、というセオリーについて解説していきます。

 

 あくまでここで紹介するのはセオリーであって、必ずしもこうするのが正解というわけではないですが、試合に慣れるまでは、このセオリー通りの送り札をしていけば問題ないでしょう。

 

セオリー①:まずは共札を分ける

 セオリーの一つ目は共札を分ける。共札については競技かるたの始め方(4)ー決まり字紹介part1で説明してるので、わからない人は見てきてね!

 

 なぜ共札を分けるのか、ってことなんだけど、これにはいろいろ理由が考えられます。とりあえず、私が考える共札を分けるべき理由は主に二つ。

 

 一つ目は、相手に狙われないため。多分この理由が一番大きい。

 

 どういうことかというと、競技かるたって基本的に自陣よりも敵陣に意識を割くんです。攻めがるたとか守りがるたとか関係なく。そうしないと敵陣が取れなくなってしまいます。

 

 そうなると、自陣に共札を両方ともおいて、短い決まり字のまま放置するのは得策とは言えないんだよね。なぜかというと、相手も共札があることで、決まり字が短くなったその札たちを、より意識的に狙うからなんです。もちろん、こっちもちょっと意識したら相手より早くとれるんだけど、そこに意識を割くぐらいだったら、敵陣のほかの札を意識したいのです。
 

 というわけで、相手にとってやりやすい陣から、やりにくい陣ににとって整理するため、というのが一つ目の理由になります。この、相手がやりにくい陣に整理する、という考え方は送り札の基本方針になるので、ぜひ覚えておいてください!

 

 そして、二つ目の理由は、共札が自陣と敵陣に分かれているという状況に慣れるというもの。

 

 共札というのは途中まで決まり字が似ていて、お手付きの多い札です。特に自陣と敵陣に分かれていると、どっちがどっちかわからなくなり、ダブをしてしまう、ということもしばしば。

 

 そこで、そういう状況でも的確に札を判断するために、積極的に共札が自陣と敵陣に分かれている状況を作り出し、そこで共札をしっかり聞き分けて取る、という練習を積む必要がでてきます。相手からしても、共札が分かれている状況は難しいため、こちらがその状況を得意にしてしまえば、ほかの選手に比べて一歩リードできる、という感覚ですね。

 

セオリー②:敵陣にない音の札を分ける

 敵陣にない音というのは、たとえば、自陣に「み」から始まる札が三枚あるのに、敵陣には一枚もない、というような状況のときに、「み」から始まる札を一枚送る、ということです。

 

 このような札を送る理由も、セオリー①とほぼ変わらず、相手に狙われないようにするため自陣と敵陣に分かれている札を取る練習のための二つですね。

 

 「み」から始まる札が自陣にしかないと、相手からしたら、「み」という音を聞いただけで、とりあえず敵陣に手を出せばいいか、という風に考えさせてしまうので、それを避けるためにも、同じ音はできるだけ分けましょう。

 

 また、場に「み」から始まる札が一枚しかない、いわゆる「単独札」なんて言われる札を持ってる時に、それを送るというのも、悪くない選択といえます。

 

 ただし、この単独札というのは、共札を分け終え、同じ音から始まる札も分け終えた後に、初めて候補に入るぐらいの優先順位なので、そこは気を付けましょう。

 

セオリー③:決まり字が短い札を送る

 基本的に、相手に送る札は決まり字が短いもの、特に二字決まり以下の札を送るように心がけよう。

 

 共札は別として、たとえば、セオリー②で例に挙げた「み」から始まる札が、「みち」「みよ」「みかの」の三枚だった場合、決まり字の長い「みかの」は送らずに、「みち」か「みよ」のどちらかを送る、という感じです。
 

 また、このセオリーは共札の場合も応用でき、たとえば、自陣に共札が「うら」「うか」と「あらし」「あらざ」の二組が存在したときに、決まり字の短いほうの「うら」「うか」の方を「あらし」「あらざ」より先に分ける、という風にも使えます。

 

 セオリー②でちょこっと紹介した単独札も、それが三字決まりの場合は、よっぽど他に送る札がないとき以外送らなくてもいいです。その札が二字決まりに変化したときにはじめて送る、ぐらいの感覚で十分でしょう。

 

 なぜ決まり字が短い札を送るのかというと、一番大きな理由は、敵陣をより強く覚える感覚を養うためです

 

 先ほども言ったように、競技かるたは基本的に、自陣よりも敵陣に強く意識をおきます。この辺に関しては、攻めがるたと守りがるたの記事で詳しく解説していますが、初心者、初級者のころは、特に意識してこの感覚を持たないと、なかなか敵陣が取れなくなってしまう。

 

 だからこそ、送り札の段階からそこを意識せざるを得ないような送り、つまり決まり字が短い札を送って、それを敵陣で取る、といような送りが、特に初心者にはおすすめになってくる、というわけですね。

 

おわりに

 今回は、初心者、初級者向けの記事ということで、本当に基本的な送り札のセオリーだけ紹介しました。これらを意識して、強い人の試合を見ると、ほとんどこのセオリーに当てはまる送りをしていることがわかります。

 

 実際私も8割から9割は、このセオリーに則った送りをしています。
 

 もちろん、優先順位の付け方や、セオリーの応用の仕方、セオリーをあえて無視することなど、送り札のバリエーションは様々ですが、それらはまた、別の記事で解説する予定なので、興味がある方はそちらをお楽しみに!