
突然だけど、皆さんお手つきのルールってしっかりと理解できでいますか?
初心者の試合とかを見ていると、自陣を取られたにもかかわらず、相手がお手つきしたからと札を一枚送ったり、手が当たったら何でも共お手にしたがったり、といったようなことが多々起きます。
かくいう私も、最初のころはそんな感じでしたし、今でも焦っているときなどは、平気で相手がお手つきしたというだけで、札を送ってしまうことがたまーにある(たまーに、ね笑)
実際お手つきの処理とか、ゆっくり考えたら簡単にわかるのですが、試合しながらいろいろ考えている中で、突然言われると分からなくなるし、共お手のルールもけっこうわかりにくいですよね。
そこで、今回は、競技かるたのルールブックである競技規程をもとに、お手付きのルールを詳しくまとめてみました。
表向きは初心者向けの記事ですが、競技規程とか読んだことねーわ、とかいった競技かるたプレイヤー(かるたーとか言ったりします)も共お手のところだけは、ぜひ読んでもらって、無駄なもめをなくしていきましょう!
基本的なお手つきのルールについてはこちらにも書いてあります!→競技かるたの始め方(2)ー競技かるたの基礎ルール
目次
お手つきのルール
それじゃあ早速お手つきについての競技規程を見てみましょう! ちなみにこの記事における引用は、すべて全日本かるた協会のHPからおこなっております。
引用元→http://www.karuta.or.jp/kitei/index.html
第二十三条
出札が無い陣の札を、その札が競技線内(空中を含む)にあるときに有効手で触れた場合、これをお手つきとする。
二 有効手が一方の陣の札に触れたままその札が他方の陣に入り他方の陣の札と接触した場合で、有効手と札との接触部分が他方の陣に入っていた場合には、他方の陣の札にも触ったこととしてお手つきとする。
三 札に触る意思の有無にかかわらず、札を取る動作の一連の流れの中で札に触ってしまった場合、お手つきとする。
四 明らかに、札の整理等で札に触れた場合は、お手つきとみなさない。
五 有効手以外で札に触ってもお手つきとしない。
六 読みが不成立の場合のお手つきは全て無効とする。
<補足> 一 出札がある陣の出札以外の札に触っても、お手つきとはしない。 対戦者が払うなどで札が動いてきて、その札がまだ競技線外に出切っていないときに有効手に触れた場合もお手つきとする。ただし、触れた有効手が構えの段階から畳につけたままだった場合はお手つきとしない。
ニ どちらの陣にも出札がなかった場合は、双方の陣でお手つきをしたことになる。 なお、他方の陣の札については、札直接の取りや札押しの取りが成立していなければ、取りとはみなされない。
三 相手陣の札を取った手を戻そうとしただけのときでも、一連の流れの中で自陣の札に触れた場合はお手つきとなる。 札を取る動作の最後に、畳を叩こうとして誤って札に触れた場合も一連の流れとみなし、お手つきとなる。
う、うーん、かなり長い… 大事そうなとこは赤色にしてみたので、その辺を中心に見ていこう。
一項
まずは、第一項。”一”って書いてませんが、一番上のところです。これがお手つきの定義に当たります。つまり、出札が敵陣にあれば自陣、自陣にあれば敵陣、空札ならば両陣の札を触るとお手つきになる、ということですね。
また、その札が競技線内にあるときとあるように、競技線外に出た札を触ってもお手つきにはなりません。そんな状況めったにないでしょうが、一応覚えておきましょう。
二項
次は第二項。なんだかわかりにくい文言ですが、言いたいことは、札を取ったときに、その札を引きずって逆の陣までもっていって、その逆の陣の札に、自分が取った札が当たっちゃうと、直接手で触ってなくてもお手つきになるよーってことだと思います。
手で触らなくてもお手つきになる場合を示したものになりますね。
三項~六項
三項から六項は割と文言通り。三項の一連の動作ってのがちょっとわかりづらいですが、ようするに、札を取ろうと手を出してから、畳に手がつくまでの動作、と考えれば大丈夫でしょう。
五項の有効手っていうのは、札を取る側の手首から先のことです。つまり肘とかで札を触ってもお手付きにはならないよーってことですね。
補足一
これは、主に囲い手とかする時に、この後でやる共お手になるかどうかで問題になってきます。すなわち、自分は囲っているだけで、札に直接触っていないときでも、相手が触った札が自分に当たれば、共お手になる、みたいな感じですね。
実際よく起こる状況ですが、まあ自分の意志にないにしろ、札に触ったからお手つき、という整理はわかりやすくもあるから、問題ないですかね。
補足二
空札のときに、敵陣、自陣の両方とも触ると、お手つきを二回したことになり、札を二枚送られる、いわゆる空ダブと呼ばれるものの、根拠となる規程です。
それ以外に特にいうことはないかな…
補足三
三項の補足説明、および具体例にあたります。慣れてきたらこんなことなかなか起こらないですが、たまに見かけるので、注意しましょう。
共お手つき
さてさて、続いて共お手つきについて。ここから先は有段者も必見です。それでは競技規程どうぞ!
第二十四条
相手との接触によりお手つきをさせられた場合は、双方共にお手つきをしたものとする。
二 相手との接触の後でも、自己の動作によってお手つきをした場合は共お手つきとしない。
三 一方の競技者がお手つきをしてまだ札に触れている状態の手に、対戦者の手が触れた場合は、共お手つきとする。ただし、手の軌道からして明らかに札に触れないと判断される場合は、この限りではない。
<補足> 一 相手との接触によって物理的に手の軌道が変わったことによりお手つきをさせられた場合をいう。 お手つきをした手が札から離れてから対戦者の手にぶつかった場合で、対戦者が札に触っていない場合は、共お手つきとならない。
二 相手との接触が原因であっても、反射的に手を動かしたことによってお手つきをした場合は、共お手つきとしない。
自分は触る気なかったのに、相手の手に当たって札に触ってしまった場合を共お手つきといい、両方お手つきしたものとみなす、っていう規程ですね。
いろいろと書いていあすが、結局のところ自分の意志で触ったかどうか、っていうところがポイントになってきます。
この自分の意志、というのもけっこうくせ者で、自分ですらわからないことが多々あります。自分の意志であるにもかかわらず、だ。
そうであるから、対戦相手からしてみれば、今明らかに自分から触りに行ったな、と見える場合でも、相手の手に触れた、という事実から、自分的には触る気はなく、相手の手によって軌道が変わったんだ、と思い込んでしまい、そんなことはない、ともめが発生するのです。
ぶっちゃけこの辺は意識の話だし、何が正しいとかわからないので、自分の意見だけを押し通すのではなく、相手の意見も正しいのかも、相手がこう見えたのには何かわけがあるのかな、みたいな疑問を常に抱いてほしい(この辺メンタルカテゴリーで詳しく語ります)。
後、三項についてなんですが、これは、簡単に言うと、相手の手がなかったら自分がお手付つきしていたかどうか、ってことですね。この辺り、もちろん手の出し方とかでもある程度は判断できるけど、最終的には自分の意志の問題になってくるので、共お手つきの話題は、どちらかというと、揉めだったり、メンタルの話になってきますね。
難しい話になっちゃいましたが、初心者の方は、自分で触ろうと思ったら普通のお手つき、自分に触る意思が全くなかったなら共お手つき、という認識でオッケーです。
お手つきと送り札
正直、ここが初心者の方々に向けて一番書きたかったところです笑 慣れてきたら戸惑うこともなくなると思いますが、早く慣れたいという人はぜひ参考にしてみてください!
送り札が発生するのは2パターン
冷静に考えたらわかることですが、送り札が発生するのは、敵陣の札を取ったときと相手がお手つきをしたときの2パターンのみになります。
つまり、敵陣を取った、もしくはお手つきをした、この2つの事象だけを追って、送り札の足し引きをすれば、送り札で迷うことはなくなります。
とはいっても、それがややこしい。そこで、実際私が処理してる送り札の考え方を紹介します。
ポイントは損得勘定
ポイントとしては、タイトルにもあるように、損得勘定で送り札を計算するとよいです。
たとえば、冒頭の例にあるような、相手に自陣を抜かれたが、敵陣の札も触っており、お手つきをしている場合。この場合、本来自分は一枚送られるはずだが(損をした)、お手付きのおかげで送られずに済む(得をした)。だから送り札は発生しない、とこんな感じですね。
数字に強い人は、単に、
相手がお手つき、自分が敵陣抜く→+1
自分がお手つき、相手に自陣抜かれる→-1
で計算するのが楽ですかね(私は数字弱いので、損得勘定みたいな意味不明なとらえ方をしているけど笑)。
…これをいっちゃあ身も蓋もないけど、この記事書いてて、だいたい混乱するのって、この相手に自陣取られた&お手つきのパターンぐらいなのかな、とか思ってしまった。
つまり、このパターンの処理さえ覚えてしまえば、ほかのパターンはたぶん皆さん問題ないだろうから、このパターンだけしっかり覚えて、札を送ってきた相手にしっかり説明できるようにしましょう!
…という結論でいいよね?笑
おわりに
さて、今回はお手つきについてまとめてみました。お手つきに限らず、競技規程を一回読んでみる、ってことは意外と大事なので、今まで読んだことなかった! って人は時間があるときにでも読んでみましょう。
後これは持論なんだけど、お手つきって結局相手のミスだから、相手がお手つきしたことを認めさせるための過度な揉めはナンセンスだと思います。
相手のお手つきで自陣一枚減らすぐらいなら、敵陣を一枚抜いて自陣を一枚減らす、それぐらいの「余裕」をもって競技かるたをする方が、長期的にも強くなるだろうし、その試合単体で見ても、後々いい結果につながります。
こう考えると、お手つきってのはメンタルと大きくかかわってくる事象なのだな、と改めて実感するところです。この辺についてもいつか関連させた記事を書きたいと思います。
それでは!