会話

 一番近くにいるようで、一番遠い存在。それが「自分」というものです。皆さんは自分というものを、一体どの程度理解できているでしょうか?

 

 競技かるたにおいて、自分を理解し、コントロールする能力はとても大事な能力、下手すれば一番大事な能力であるとさえいえます。

 

 今回はそんな大切な能力を引き出すための唯一の方法、自分との対話についての記事です。自分との対話は、一見簡単そうに見えて、実はなかなか根気のいる作業です。皆さんもこの記事をきっかけに、自分というものをもう一度見直してみましょう。そこに、競技かるた上達のすべてが隠されています。

 

 

会話

 

 

 

自分が一番わからない!?

 前書きにも書きましたが、私たちは案外自分自身のことがわかっていません。競技かるたをある程度やっていると、謎の不調やスランプなどというものは誰でも一度経験したことがあると思います。

 

 そのような長い期間でなくても、「今日お手つき止まらないなぁ…」とか、「さっきの試合は、なぜか全然集中できなかった…」みたいに、試合単位で不調を感じることがあると思います。

 

 また、不調やスランプとは逆に、「さっきの試合めっちゃ体動いた!」とか、「今日すごい暗記入ってる!」みたいに、理由はわからないが、調子がいいとき、というのもあるかと思います。

 

 これらすべてに共通して言えるのが、「なぜだか理由はわからない」、ということです。もしわかっているのなら、好調をキープし、不調を回避できるはずですよね。それがうまくいかないというのは、すなわち、「自分のことがよくわかっていない」、という証拠なのです。

 

 それでは、どうすれば自分の好不調を把握し、コントロールできるようになるのか、というかそもそもそんなことが可能なのか、などといった疑問が出てくると思いますが、それを可能にするのが、今回のテーマである「自分との対話」なのです。

 

自分との対話の具体的方法

 さて、そんな「自分との対話」、具体的にはどのように行っていけばよいのでしょうか。ここでは、自分との対話がはかどる、具体的方法を紹介していきたいと思います。

 

基本方針としては「深く突っ込む」

 「自分との対話」の基本方針は、深く突っ込むことです。

 

 たとえば、今日は調子が悪かった→なんで?→暗記がいつもより入っていなかった→どうして?→正直、今日はあんまかるたの気分じゃなかった→何かあったの?→うーん、寝不足で疲れてるのかな→じゃあ、しっかり睡眠取らないとね… みたいな感じで、しつこいぐらい、なぜ?どうして?どうすればいい?を自分に問いかけていきます。

 

 もう一つ、例をあげてみると、今日試合に負けた→原因は?→お手つきが多かった→なんで?→相手の手につられて札を触ってしまった→どうして?→暗記ごまかしてるからかな→じゃあどうすればいい?→相手の手に頼らず、自分で思い出せるぐらい暗記しっかりする→それをするには?→目をつぶってみるとかどうだろう?→じゃあ、次それしてみようか…

 

 と、まあこんな感じに、深く深く掘り下げていきます。この、深く掘り下げて、自分の知らなかった自分を発見する、それが「自己対話」の最大目的になります。

 

自分のことを客観的に見つめる

 「自己対話」をする際に注意してほしいことは、できるだけ自分を客観的に見つめるように意識することです。

 

 自分を客観的に見ることができない典型的な例としては、自分が認めたくない本当の欠点を認められない、といったことがあげられます。たとえば、相手を見下す癖がある、だとか、自分の負けを認めたくないがため、うまくいかなくなると適当に試合をやりだす、とか、そういったところです。

 

 しかし、それも自分なのです。悪い点も含めて自分なのです。そういった自分の中の黒い部分からも目を背けず、真正面から向き合っていく、それが自己対話をする意味でもあるのです。

 

調子が良いときと悪いときで比較する

 これは、自己対話の際のヒントとなるものですね。つまり、調子が良かった時の試合と調子が悪かった時の試合を比べて、調子が良かった時、自分は何をしていたのか、もしくは何をしていなかったのか、といったことを見つけ出します。

 

 たとえば、調子が良かった試合の後は、どうも腕が疲れているな、ということに気付いたとします。つまりそれはどういうことだ? と考えたときに、普段よりも素振りが多いのだ、とさらにもう一歩気づくことができたとします。これに気付けたならば、調子が悪い時も、調子が良い時の動き、すなわち素振りを意識的に多くすることで、調子が良い状態に近づくことができます。

 

 このように、自分の様々な状況を比較することで、自分が無意識的にしかしていなかったことを、意識的にすることができます。これも、自分を理解することにつながる自己対話の一種であるといえるでしょう。

 

他人の視点は自己対話の「ヒント」になる

 もう一つ、自己対話のヒントとなるものとして、他人の視点、というものがあげられます。他人の評価というものは、自己評価よりもよく見えているということはよくあることです。

 

 たとえば、自分ではそう思っていなかったとしても、対戦相手から、「なんだか、今日は動きが硬かったね」などと言われたとします。自分的にはそんなことを思っていなかったので、そんなことはないよーと否定したくもなりますが、他人からそう見えたという事実は存在するのです。

 

 ここに、自分では気づけていない自分というのが存在している可能性があります。

 

 そこで、対戦相手から動きが硬いといわれた→なぜだろう?→そういわれて思い返してみると、確かにぎこちない取り方していたな→じゃあ、原因はなんだろう?→特定の札狙いすぎてたから、違う札が読まれたときに硬い動きになってたのかな?→じゃあ、もうちょっとバランス見直した方がいいかもね、と、こういう風に、ここにも無意識の自分が隠れています。

 

 ここからさらに突っ込んで、自分が特定の札を狙いすぎてバランスを欠いているときって、いったいどんなときだろう? と自己対話を進めることができたならなおいいですね。ここでも、「バランスよく札が取れている自分」と「特定の札を狙いすぎている自分」を対比すれば、おのずと答えは見えてくるはずです。

 

おわりに

 以上、私が最近最も大事にしている自己対話についての記事でした。

 

 冒頭にも書きましたが、競技かるたにおいて自分を知ることはかなり大事なのですが、その方法をアドバイスしてくれる人はなかなかいないと思います。なぜなら、自分を知る、ということは、自分の中での出来事であって、他人がどうこう言える代物ではないからです。

 

 他人も、「自分からはこう見えたよ」ぐらいのことは言えますが、実際のところどうかは、けっきょく自分自身にしかわかりません。そういった意味で、自己対話とは孤独な闘いです。

 

 ですが、そうして知り得た自分というのは、いろんな場面で強みとして、いかんなく発揮されます。この記事を読んで、皆さんがもう一度、近くて遠い自分というものを見つめなおし、今まで以上に自分をよく知ってもらえたなら幸いです。

 

それでは!